クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「そうなんです。店の前の海にいるっていうから来たのに、ふたりともいないんです」
本当にどこへ行ったのだろう。
スマホを耳にあてながら回りをさっと見渡すが、やはりいない。
《そのうち会えるだろう》
「そうですよね」
ふたりが奈々を置いて帰るはずはないだろうから。すれ違っているのだとしたら、依子から奈々が海にいると聞くだろう。
《じゃ、それまでしゃべっていようか》
「はい、そうさせてください」
電話をかけてくれた晶に感謝だ。ひとりきりでふたりを待つより、ずっとずっといい。
「あ、でも仕事へ行く時間じゃないですか?」
《今日は大丈夫》
自宅から直接クライアント先へ行くのかもしれない。時間に余裕があるのはますます嬉しい。
《依子さんの新しい店はどう?》
「とても素敵です」