クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「そうなんです。店の前の海にいるっていうから来たのに、ふたりともいないんです」


本当にどこへ行ったのだろう。
スマホを耳にあてながら回りをさっと見渡すが、やはりいない。


《そのうち会えるだろう》
「そうですよね」


ふたりが奈々を置いて帰るはずはないだろうから。すれ違っているのだとしたら、依子から奈々が海にいると聞くだろう。


《じゃ、それまでしゃべっていようか》
「はい、そうさせてください」


電話をかけてくれた晶に感謝だ。ひとりきりでふたりを待つより、ずっとずっといい。


「あ、でも仕事へ行く時間じゃないですか?」
《今日は大丈夫》


自宅から直接クライアント先へ行くのかもしれない。時間に余裕があるのはますます嬉しい。


《依子さんの新しい店はどう?》
「とても素敵です」

< 293 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop