クールな御曹司の甘すぎる独占愛
奈々は慌てて訂正した。
スイスにいる晶に今すぐ会いたいなんてワガママもいいところだ。
《奈々、今から会いに行くよ》
「やだ、晶さんまで。冗談はやめ――キャッ!」
言いかけた奈々は突然手を引っ張られ、後ろへ振り向かされたかと思えば、強く引き寄せられた。
あまりにも一瞬の出来事のため、なにが起きたのか知りようもない。誰の腕の中なのかわかったのは、その香りに包まれたときだった。
「え!? どうして!?」
晶だったのだ。
「俺に今すぐ会いたかったんだろう?」
「そうですけど、どうして?」
目の前の光景が信じられず、まるで夢でも見ているようだ。まさか、宮内と明美をさがしているうちに、奈々の願いを投影した夢の世界に入り込んだのか。それくらい奇跡的なことが奈々の身に起きていた。
「もう奈々のそばから離れない」