クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「忙しいのにいつもありがとう」


今日は閉店後だが、佐野はこうしてたまに来店しては得意先への手土産に光風堂の和菓子を買ってくれたりしている。


「まだ仕事中?」
「うん、帳簿をつけてて……」


奈々がうっかり顔を曇らせたことに気づいたのか、佐野は「なにか心配ごとでもあるのか?」と眉をひそめる。


「あ、ううん、ぜんぜん。いろいろ忙しくて」


佐野に心配をかけるわけにはいかないと、奈々はめいっぱい明るく笑顔で返した。

店の経営がうまくいっていないと、清人や道隆にはもちろん明美にも打ち明けてはいない。客足が減っているため、もしかしたら気づいているかもしれないが。

ただでさえ奈々は頼りない経営者。そこへきて余計な負担を背負わせたくはない。


「そっか。一緒にメシ――」


佐野が言いかけたとき、再び店のドアがノックされた。

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