クールな御曹司の甘すぎる独占愛
奈々は、そちらに向けた目を大きく見開く。同時に鼓動がひとつ、トクッと跳ねた。ガラスドアの向こうに水瀬が立っていたのだ。
いつも来店するのは営業時間中。店が閉店してから彼が顔を出すのは初めてだった。いったいどうしたのだろう。
「いらっしゃいませ」
かすかに加速していく鼓動に気づかないふりをして平静を装う。
「今日は少し遅くなったけど平気かな? もう片づけちゃった?」
――やっぱり和菓子が目当てなんだ。……って、それじゃ私はなにを期待していたの?
がっかりした気持ちに気づき、奈々は慌ててその感情を葬り去る。
「ショーケースからは出したのですが、まだあります」
そう答えながら水瀬を店内に招き入れる。
そこで中に先客がいると気づいた水瀬は、数歩進み足を止めた。
「……お客さん?」