クールな御曹司の甘すぎる独占愛
奈々が困っているのは確か。不慣れな経営に行き詰まり途方に暮れている。このままでいけば、潰れるのは時間の問題かもしれない。しかし、両親の遺した大切な光風堂はなんとしても守りたい。
真摯な声色に、奈々の心が突き動かされていく。
「……本当によろしいんですか?」
今のところ、自分から申し出てくれた水瀬以外に頼れる人はいない。
「俺がそうしたいんだ」
「水瀬さん……、ありがとうございます。でも、あまり勘違いしそうになるようなことは言わないでください」
きっと、純粋に光風堂を救いたいと思ってくれているだけ。期待なんてしちゃダメ。気に入ってくれたのは和菓子のほう。私じゃない。
奈々は自分にそう言い聞かせ、水瀬に向かいそうになった気持ちを必死に引き止める。
「勘違い?」
「はい」
はにかみながら奈々がうなずくと、水瀬は「勘違いか……」と苦笑いだった。