クールな御曹司の甘すぎる独占愛

和菓子職人の清人、軽食調理の道隆、サービスの明美。従業員はたったの三人だ。


「光風堂の場合、一番の問題は廃棄ロスだね。それが利益を圧迫している」


羊羹やどら焼きは多少日持ちするが、毎日店に並べている和菓子のほとんどが消費期限の短いものばかり。日々の実績を見れば、多く作り過ぎているとわかっている。とはいえ、もしかしたら今日は売れるかもしれないと思うと量を減らせない。

なにしろ光風堂は和菓子屋。今でこそサンドなどのカフェメニューに売れ行きのトップの座を奪われているが、四代に亘って続いてきた和菓子屋の看板を捨てたくはないのだ。


「何度か通っている俺の印象として言わせてもらうと、ここにくるお客が光風堂は和菓子屋だと知らないんじゃないかなと思うんだよね。あくまでもカフェで、ショーケースに並んでいるのはおまけ程度のスイーツ」
「……そうかもしれません」


レジ横にあるショーケースにお客も目は向けるが眺めるだけ。まるで単なるディスプレイ。


「ブランド戦略といってね、光風堂がもつ独自性、差別化ポイント、価値などをお客様に認知してもらうことがまず必要なんだ。光風堂はこれからも和菓子屋としてやっていくんだよね?」

< 49 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop