クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「はい、もちろんです」


和菓子屋でなかったら光風堂ではなくなる。


「それならば、そこを明確にしていくことが大事だ。発信したいブランドイメージを明確にすることをブランドアイデンティティと言うんだけど、それには差別化ポイントが肝になる。光風堂の場合、カフェとして経営しているけれど和菓子がそれにあたる。でも、それがお客様には認知されていない」


まったくそのとおりなのである。奈々は首をこくこくと縦に振った。


「そこで提案なんだけど、ここは思い切って軽食やコーヒーを注文したお客に試食として一品つけるのはどうかな」
「試食、ですか」


これまで和菓子を大事に思うばかり、無料で配るなどと奈々は考えもしなかった。


「日本人、外国人を問わず、珍しいとは思っても、注文してまで食べる動機づけにはなっていないのかもしれない」

それも一理ある。購買意欲を刺激するには、食べてみるのが一番だ。それでなくとも光風堂の和菓子は、高級ホテル内にあるため一個あたりの値段は高めに設定されている。ひとくちサイズでも一個三百円は下らない。

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