クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「そうですよね」
「一時は原価率を引き上げるけれど、少し先の未来のための投資だと思って」
それならすぐにできるやり方だ。
「損して得をとれ、ですね」
「そうそう」
奈々の返しに水瀬は満面の笑みを浮かべる。
その顔が不意に横へ向けられ、間近で視線が絡んだ。水瀬の眼差しに吸い込まれそうになる。なにか喋らなくては。そう思うのに、口は開かない。
水瀬の顔がさらに近づきそうになったときだった。水瀬の胸もとでスマホがヴヴヴと振動を伝える。
「ちょっとごめん」
水瀬は立ち上がり奈々に背を向けた。
その後ろ姿を見ながら、奈々はふぅと小さく息を吐く。
今のはなんだったんだろう……。
水瀬が離れても胸はドキドキと高鳴ったままだった。