クールな御曹司の甘すぎる独占愛
◇◇◇
ホテルの前からふたりを乗せたタクシーが夜へと繰り出す。火曜日の街は金曜日ほどの賑わいはないが、水瀬とふたりで食事に出かける思わぬ展開が、奈々の心を弾ませていた。
「ひとつ聞いてもいい?」
水瀬が唐突に質問する。
「はい。なんでしょうか」
左隣に座る水瀬に奈々は顔を向ける。水瀬は真剣な眼差しだった。
「さっき店に来ていた佐野って男は、奈々さんの彼氏?」
まさかそう聞かれるとは思わず、奈々はとっさに吸い込んだ息でむせ込んだ。
「大丈夫?」
水瀬が心配そうに奈々の背中をさする。
「……大丈夫です。すみません」
「その反応は、ずばりそう?」
顔を覗き込んだ水瀬を奈々がパッと見る。