クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「いったいどんなカラクリが?」


興味津々に身を乗り出した真弓に、奈々は水瀬との経緯や光風堂の経営数値をチェックしてもらい、アドバイスをもらったと話した。

昨夜、水瀬に抱きしめられたとはさすがに言えず、食事をご馳走になり、マンションまで送り届けてもらった部分で止めておいた。


「奈々はものすごくラッキーだね」
「本当にそうだよね。水瀬さんがそう申し出てくれなかったら、光風堂は衰退の一途をたどるしかないだろうから」


成果はまだ出ていないが、光風堂の未来が数日前よりは明るいものになっている気がしてならない。それは心強い味方がついたせいだろう。

そう考えると、三年前に水瀬にクラブハウスサンドを差し入れてくれた人に感謝の気持ちでいっぱいだ。水瀬がその味を覚えていてくれたからこそ、再び光風堂のサンドを食べようと思ったのだから。

そして、忘れてならないのが柳の存在。彼が会社に大事な資料を忘れてくれたおかげで、水瀬と話す機会をもてた。柳がそそっかしくなかったら、水瀬は光風堂の和菓子を食べる機会はなかっただろうから。

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