クールな御曹司の甘すぎる独占愛
ホテル内への出店のため、できれば店休日は設けたくはない。だが、少ない人数で回していると、どうしても一週間に一度は休みを入れざるを得ないのが現状。
「もしかしてお店に寄ってくださったんですか?」
《クライアントへの手土産にと思ってね》
「それは申し訳ありませんでした」
《奈々さんが謝るところじゃないよ》
電話の向こうで水瀬が優しく笑う。奈々の耳もとにやわらかい風があたったような感覚がしてくすぐったい。
「あの、それで……?」
いったいどんな用件なのだろうか。わざわざ電話をかけてくるのだから、なにか急用なのか。
《この前少し話した光風堂の販売管理シートを作ってみたから、奈々さんに見てもらおうと思ってね》
「もうできたんですか!?」
その話をしたのは一昨日のこと。
無料でやってもらっているのに……。
こんなに早く作ってもらい、奈々は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。