クールな御曹司の甘すぎる独占愛
《そんなに難しくないから。それと、仕事中に作ったわけじゃないから心配しなくて大丈夫》
「かえってすみません……」
仕事で疲れているのに、水瀬の貴重な時間を使わせたのは気がかりだ。
《何度も言うけど、俺が好きでやってるんだから、奈々さんは謝らない。いい?》
「……はい、ありがとうございます」
水瀬に見えはしないが、奈々はその場で頭を深く下げた。
本当に優しい人。その優しさにもう少しだけ甘えさせてもらおう。
《それで、今どこにいる?》
「今ですか? 今は友人の家に来ていて」
《それはどこ?》
「武蔵野市ですが……?」
奈々がそう答えると、真弓が「どうかしたの?」と心配そうに見つめる。奈々は、それに首を捻って反応した。奈々にも質問の真意が掴めない。
《ちょうどいい。帰りに寄れそうだから、メールで住所を送ってもらえない?》
「えっ? 寄るって……ここに、ですか!?」
思いも寄らない水瀬の言葉に、奈々は気が動転した。
そばで話を聞いている真弓も驚き顔だ。