クールな御曹司の甘すぎる独占愛

水瀬によると、これから立川でクライアントに会うらしく、それは一時間程度で済むから帰りに奈々を迎えに寄りたいと言う。車で向かっていて、今日はそのまま仕事をあがるため問題ないと。


《どこかで待ち合わせるより、そのほうが時間もとれるからね》


水瀬がそこまで言ってくれるのなら、奈々は従うのみ。それでなくても無料で相談に乗ってくれているのだ。水瀬のやりやすいようにしてもらったほうがいい。それに、移動時間も有効に使いたい水瀬の気持ちもわかる。それで空いた分を自分の時間に充てたほうがいいだろう。


「それじゃ、よろしくお願いします」
《オッケー。だいたい五時頃になるけど、それまで大丈夫?》


ちょっとお待ちくださいと断ってから、真弓に尋ねて了承をもらう。


「はい、大丈夫です」
《じゃ、あとでね、奈々さん》


電話を切ると、真弓は「いったいなにごと?」と目をまばたかせる。水瀬とのやり取りを話すと、真弓は「ずいぶん熱心な人だね」と感心したのだった。

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