クールな御曹司の甘すぎる独占愛
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真弓の自宅の住所をメールで送り、美弥に癒されながら五時を待つ。
理由はどうであろうと水瀬にこれから会うのかと思うと、それだけで奈々は次第に緊張してくる。化粧ポーチに入っている鏡でこっそり髪や化粧崩れをチェックしていると、真弓から「いったい誰に会うつもり?」とからかわれた。
奈々のスマホに着信が入ったのは、五時を十分ほど過ぎたときだった。応答をタップすると、水瀬はあと五分くらいで着くと言う。
美弥が抱きついて離れない真弓に代わって紅茶のカップを片づけ、三人で玄関から外へ出る。もうそろそろ桜が咲いてもいい陽気だ。頬を撫でる空気がやわらかい。
「遅くまでお邪魔してごめんね」
「そんなのぜんぜん平気だよ。美弥と遊んでくれて、こっちこそありがと。ずっと家にふたりでいるから、奈々が来てくれて楽しかった」
「私も久しぶりに真弓と美弥ちゃんに会えて楽しかった」
店と自宅の往復ばかりの毎日。真弓たちとの時間は、束の間忙しさを忘れさせてくれた。こういう時間も大切だ。
「また来るね」