クールな御曹司の甘すぎる独占愛
「ごめん、約束の時間に間に合わなかったね」
「あ、いえ。大丈夫です」
約束より十五分遅い到着だったが、仕事を済ませてから見知らぬ土地に車を走らせるのだから、それくらい遅れたうちには入らないだろう。
ふと水瀬の視線が真弓と美弥に向けられる。
「こちらは高校からの友人の真弓と、そのお嬢さんの美弥ちゃんです」
「水瀬晶と申します。お聞きかとは思いますが、光風堂のことで相談を」
奈々が真弓を紹介すると、水瀬は胸元から名刺を取り出した。車を降りてからここまでのスマートな仕草に奈々はつい見惚れる。
本当に素敵……。もはやそれしか出てこない。
美弥を抱っこしながらだったため、真弓は恐縮しながら片手でそれを受け取る。
「な、な、名取真弓です」
真弓はしどろもどろになりながら名乗った。
「小さなお嬢さんがいらっしゃるのに、こちらの都合でこんな時間になり申し訳ありませんでした」
「い、いえいえ! それはぜんぜん!」