クールな御曹司の甘すぎる独占愛

「水瀬さんのお車なんですか?」
「一応ね。まだ納車して二週間。普段は社用車を使わせてもらっているけど、今日は奈々さんに約束を取りつける魂胆だったから、自分の車を使ったんだ」
「そ、そうなんですね」


奈々は、水瀬の言葉ひとつひとつに過剰反応する自分が恨めしくて仕方がない。そこに他意はないと頭ではわかっていながら、心はさっきから翻弄されっぱなし。ついさっき気を取り直そうとしたばかりなのに、再び心が惑う。


「でも、仕事で疲れているのに、そのあとに運転って大変じゃないですか?」


電車移動なら、その間に休めそうだけれど。


「車を運転するのが大好きでね。ロスにいたころも、よくひとりで何時間もただひたすら真っすぐ続く道をかっ飛ばしていたよ」
「……おひとりで?」


隣に恋人がいたのでは?とつい邪推する。おしゃれなオープンカーの助手席にはブロンドの美女。簡単にそんな想像ができるのも水瀬だから。きっとお似合いだろうなと思うと、奈々の心はチクリと痛んだ。


「ひとりだよ」
「そうなんですか?」

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