クールな御曹司の甘すぎる独占愛

昔よく通っていた店に、水瀬が女性連れで来たのが初めてとは意外だった。


「とても素敵なお嬢さんですね」


急に誉められて、「いえいえっ」と奈々が小さくなる。素敵だなんて、とんでもない。


「さすが依子さん。お目が高い。今、必死に口説いているんです」
「あら、水瀬さんに口説かれてもなびかないなんて。私だったら、すぐだけど?」


依子が冗談めかすが、水瀬は冷静に「依子さんには、俺なんかじゃとても敵わないご主人がいらっしゃるじゃないですか」と負けていない。

なんでも、依子の夫は大手不動産会社の社長とのこと。この辺一帯の土地も所有しているらしい。


「奈々さんも店を持っているんですよ。エステラにカフェも併設した和菓子店をね」
「まぁ! 和菓子店? しかもエステラに? ……もしかして光風堂さんかしら?」
「はい、ご存知なんですか?」


依子の予想外の言葉に奈々は嬉しくなる。

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