国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
王族に対する作法も知らないミリアンは、小声でセルゲイに嗜められてしまった。慌ててミリアンもそれに倣って両膝をついて頭を下げた。すると、どこからともなく威風堂々とした気配を感じ、レイが現れたのだと悟る。踵を鳴らしながら悠然とレイが玉座に座る。

「面をあげろ」

凛と響き渡るような声で言われると、ミリアンはゆっくりと視線を上げた。

夜闇のような鋭い視線とぶつかると、思わずぶるりと身震いしそうになる。ミリアンはやはりレイが苦手だった。視線を向けられながら、何を考えているのかわからない。正装である軍服を身にまとい、国王の威厳が玉座の間に広がり渡ると、その薄い唇がゆっくりと弧を描いた。

「ミリアン・エマ・フィデール」

「は、はい!」

ふいに名前を呼ばれてミリアンは背筋を伸ばした。もしかしたら、ついに自分への処罰が決まったのかもしれない。そう思うと、ドクドクと心臓が高鳴り始めた。しかし、レイの口から出た言葉は意外なものだった。
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