国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
側近の騎士には聞こえたかもしれない。ミリアンは小さく声をもらし、そしてその身をレイに預けると大勢の群集へ顔を向ける形になった。射るような何百人という視線が一気に向けられて身に穴が開いてしまいそうだった。

「よいか皆の者、この者は我がラタニア王国の久遠の栄華をもたらす守護神の化身、ミリアン嬢である! 国王と同等に尊き存在であることを各々肝に銘じ、この者に危険が及んだ時は死守せよ」

「御意!」

凛然としたレイの命令が下ると、その場にいた兵士が一斉に傅いた。

(え、ちょっと待って! 守護神の化身って? なんのこと?)

「あ、あの……?」

あまりの動揺についミリアンは声を出してレイを見上げた。

「お前の価値を見出した。先日のもろもろの罪はこれで帳消しとしよう」

冷たい視線だけがミリアンを見据え、頭の中になだれ込んでくる情報処理が追いつけないまま棒立ちになる。
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