国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「これは……」

「ラメダの花だ」

コツリと踵を鳴らし、東屋の段を上がって入ってきたのはあろうことか国王レイだった。夜の闇に紛れるためか、黒づくめの装束に外套を身にまとっている。月にかかる雲が流れて月明かりの角度が変わると、彼のその精悍な美丈夫が晒される。

「レ、レイ様……痛っ!」

慌てて引いた指先にふとチリッとした異変を感じる。

「まったく……お前はこの花が何なのか知らないのか?」

少し指先で花弁に触れただけだった。粘液のようなものが指に絡んだかと思うと急に熱を持ち、みるみるうちに真っ赤に腫れ上がってしまった。まるで火傷のようなひりつく痛みがミリアンの顔を歪めさせた。

「見せてみろ」

黒い外套を払って、レイはミリアンの横に座るとそっと彼女の手を掬い、しげしげと指先を見つめた。間近で見るレイの顔に厳しさはなく、ドクリ……と鼓動が鳴る。

「あぁ。この程度ならしばらくすれば良くなる。この花には毒がある。一歩間違えれば夜も寝られないような痛みを伴う痛手を負うところだったぞ」

「毒……」
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