国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「どこまでも追いかけていく……か。お前の剣の腕、なかなかの手練れだったぞ? この俺をかすめるほどにはな」

「レイ様、あの!」

何か知っていることがあるならば教えて欲しい。そう言おうとしてミリアンも立ち上がる。

「今日言っていたこと、どういうことか――」

「折を見て話そう。お前は私の手から離れることはできない。時間は十分にある」

そう言って、レイは意味深な笑みを口元に浮かべた。

(そうだったわ……)

自分は教会にも王都にも帰れない身。そしてレイに所有されてしまった。なんとしてでもここから逃げ出したい気持ちはあるが、逃げたところで出迎えてくれる人もいない。心休まる場所などないのだ。そう思うと一気に気持ちが沈み込む。それに国王陛下であるレイは公務で多忙な日々を送っている。時間は十分にあるのならば、互いに落ち着いて話せる機会を待った方がいいのではないかと、釈然としない気持ちを抑えつつ、ミリアンは小さく頷いた。

「お前、花が好きなのか?」

唐突に切り出された意外な質問にミリアンが顔を上げる。
< 119 / 295 >

この作品をシェア

pagetop