国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ここだ」

しばらく行くと、全面ガラス張りの建物がひっそりと佇んでいた。外観の景色が反射して、綺麗に磨かれている。先ほどの東屋より数倍広く、ガラス越しから目を凝らすと噴水のようなものが見えた。

「ここは私の専用温室だ。入れ、鍵はかかっていない」

そう言われて、そっとガラス戸を引いて中へ入ってみる。冷たい外の空気とは違い、ほんのり湿気を含んだ暖かい空気に包まれると、そこは別世界のようだった。

「わぁ……」

ミリアンは目の前に広がる光景に、まるで子どものように目を輝かせた。赤や黄色と原色の花々が咲き乱れ、異国のものと思われる植物が生い茂っていた。蝶が葉の上で奇抜な色の羽を休めている。そして人の気配にぱっと飛び去ったはずみで、花びらに煌めく露玉が弾け落ちた。

「すごい……」

見る物すべてがミリアンを魅了した。

「レイ様も花がお好きなんですか?」

「別に。花は嫌いではないが……女のように愛でる趣味はない。私がここで育てているのは薬草の研究のためだ」

ミリアンが先ほど毒のある花に触れてしまった時、レイは的確に処置をした。先ほどの薬草もここから持ってきたものだろう。
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