国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「いかなる方法を用いても咲かなかった花が、いまさらどうやって咲いたというのだ? 嘘ならもっと――」

「それはわかりません……。ラウラス様はあの花のことをカウラの花と言っていました。それに私、あの花のこと……知っていました」

それを聞くと、今度ばかりは完全にレイは目を見開いて絶句した。

「カウラの花……だと?」

「はい。私が小さい頃に熱を出して、母がカウラの花で薬を作ってくれたのを思い出したんです。それをラウラス様にお話ししたら、レイ様のために花を煎じて解熱剤を製法してくださったんです。レイ様、ほんとうはまだお体の具合がよくないのでしょう? それに、セルゲイ様だって、今のレイ様のご様子を見たら絶対に安静にしているように言うと思います」

すると、レイは羽織っていた外套の紐をほどき椅子の背もたれにかけると、諦めたようにベッドの縁に腰を落とした。

「……もっと自覚しろ、か。まったく、強情で生意気な娘だな」

そういうも、レイの口元にはほんのり笑みが浮かんでいた。

「とにかくお薬だけでも飲んでください。今、お薬をグラスに移しますね」

ようやく落ち着きを取り戻したレイに安堵して、ミリアンはグラスに一滴もたらさないように注意しながら薬を流し込んだ。一見、水のような無色透明だが、ほんの少しカウラの花の香りがする。すると――。
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