国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「んっ――」

どちらのものかわからない鼻から抜けた甘い声がミリアンの身体を震わせた。

こぼれないように互いの唇を密着させ、ミリアンはゆっくりと薬をレイに流し込んだ。

「っ……」

ごくりと喉を鳴らしてレイの喉仏が上下する。

その頬は確かにまだ熱っぽかった。密着した部分から熱い彼の体温が伝わってくる。その唇は薄く、けれど媚薬のように絡め捕られて身体の芯が今にも疼きそうになってしまう。

これは甘い口づけなんかではない。ただの口移しという行為だ。ミリアンは自分にそう言い聞かせて唇を離そうとした。しかし。

「ふぁ……っ」

後頭部にレイの大きな手が回り、離した唇が半ば強引に引き戻されて再び唇が重なり合う。

その唇は顎を這い、喉元でしっとりした吐息を感じるとミリアンの火傷の痕まで到達した。

「ッ――ひあ……」

首筋に焼けるような熱い感触がして、上ずった声が出て背筋をしならせた。

「まだ痛むのか? この痕」

誰にも見せたくない、触れられたくない場所にレイの舌がゆっくりと湿り気を帯びて火傷の痕を刺激してくる。くすぐったいようなむず痒さに、ミリアンはもう一度短く声を漏らした。
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