国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
カウラの花を煎じた薬は意外なほど即効性があり、さきほどまで熱を帯びていた身体から倦怠感がすっと抜け、疼いて仕方のなかった刺し傷も幾分か落ち着いたように見える。

「まったく、この私に意見するとは……命知らずな女だな」

レイは残りのカウラの花で作られた薬を全部飲み干して言った。

「だが、度胸のある女は嫌いじゃない。ミリアン、私にカウラの花を見せてくれないか? 今すぐにだ」

レイは植物学者でもある。どんな方法でも咲くことのなかった花が咲いたと聞いて内心見たくてうずうずしているのだろう。まるで少年のような心が垣間見えると、ミリアンは顔を綻ばせた。

「はい。私も是非レイ様に見てもらいたかったんです」

「おい、その前にこれを着ろ。そんな恰好で外に出れば凍える」

手渡されたのは上質な毛皮の上着だった。ミリアンは薄手のワンピースにベストしか身に着けていない。確かにこのまま外に出る服装としては不十分だ。

「ありがとうございます」

ふわりと柔らかな毛が身を包み込む。ほんのささやかなレイの気遣いに、ミリアンは心まで温かくなるようだった。
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