国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ラタニアの国宝を持つ者を守れ。というのが唯一私に課せられた父からの命令だった。初めは意味がわからず、気にも留めていなかったが……ソルマンテが滅んで数年後、そのロザリオを持つという者が住む村を見つけたと、父のもとに報告があった」

「そのロザリオを持つ者が母だった……?」

「そうだ。父は血眼になってその者を探し続けていた」

ドクンドクンと心臓がうるさく鼓膜に鳴り響く、その先を聞いてはいけない。そう警鐘が鳴っているように思えた。

「ここから馬で一週間ほどかかる小さな村だった。当時の私は次期国王として父に認められるためなら人を殺めることをためらわず、剣を振るった」

「な、なぜ……?」

やめて、もう話さないで欲しい。ミリアンはいつの間にか頬を伝う涙にも気づかず耳を覆いたくなる衝動にかられた。

「なぜ、我が王国の国宝を持つ見ず知らずの者を守らねばならないのか、当時十五だった私には理解できなかった。そして、ロザリオを持つ者だけを保護したのちに村に奇襲をかければ、領土拡散にもなり一石二鳥と考えた」

十五歳の考えることにしては非情で狡猾すぎるようにも思えたが、それが冷血王と呼ばれるゆえんなのかもしれない。
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