国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
城の裏手にある水門の場所は、以前、緑竜が大暴れした時に偶然見つけた。廊下を小走りに進む。もし、見回りの兵士に見つかってしまったら、きっとどこへ行くのか問われる。嘘をつくのが下手なミリアンは、もし見つかってしまったらうまくその場を誤魔化せるか自信がなかった。

しかし、そんな思いは杞憂に終わり運よく誰にも会うことなく外に出ることができた。

(今夜も冷えるわね……)

見上げると、海月のような青白い月が夜空に浮かんでいて、所々足元を照らしてくれたが、城の裏手までは月光は届かず薄暗かった。目の前には竜の住む森が大きな闇の口を開けていて、その不気味さにミリアンはストールを胸元に引き寄せて身震いした。

「ジェイス? いるの?」

辺りには人気はない。びくつきそうになりながら、ミリアンは小声でジェイスを呼んだ。

「ミリアン?」

「ッ――!?」

急に背後から肩に手をかけられて、ミリアンは短く息を呑んで肩を跳ねさせた。
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