国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ミリアン、僕だよ。約束通り来てくれたんだね」

聞き覚えのある声に勢いよく振り向くと、暗闇でひとりいる不安を吹き飛ばすかのような笑顔でジェイスが立っていた。

「もう、びっくりさせないで」

「シッ! 誰か周りにいるかもしれないからあまり大きな声を出さないで」

人差し指を自分の唇にあてがい、ジェイスは安心させるように片目を瞑って見せる。

「ラタニア城の敷地内に潜り込むことなんて簡単だよ。イアンがいい仕事をしてくれたおかげで君にこうして会えた」

ミリアンがラタニア城に捕らわれてから、ジェイスは毎日のようにイアンを飛ばし、城の中の様子を窺わせていた。イアンは賢い鷹だ。そしてミリアンの居場所と突き止め、手紙を渡す。という主人からの任務を遂行させた。
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