国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
その頃。
レイはとある男に呼び出され、すでに始まっている前夜祭の雑踏を遠くに聴きながら北棟の屋上に来ていた。視線の先にはガンタールの城下町が広がっていて、ぽつぽつと明かりが見える。そして背にはどこまでも続く真っ暗な闇に包まれた大海原がうねり、波が岩に打ちつけられていた。
「久しいな。レイ」
「エバート殿もお変わりないようで」
リムル現国王陛下であるエバートが、淡々として相変わらず愛想のないレイの態度にふん、と鼻を鳴らした。
「まぁ。そう警戒するな、今宵はガンタール王国の建国記念の前夜祭、何事も穏便にいこうじゃないか」
エバートは息子のジェイスと同じ濃茶の瞳を持ち、歳は五十ほど。通った鼻梁に細い輪郭、今でも精悍な顔立ちをしているが、若かりし頃はさらにそれも増していただろう。レイと同じ身長で並ぶと、得体の知れない威圧感が漂う。
レイはとある男に呼び出され、すでに始まっている前夜祭の雑踏を遠くに聴きながら北棟の屋上に来ていた。視線の先にはガンタールの城下町が広がっていて、ぽつぽつと明かりが見える。そして背にはどこまでも続く真っ暗な闇に包まれた大海原がうねり、波が岩に打ちつけられていた。
「久しいな。レイ」
「エバート殿もお変わりないようで」
リムル現国王陛下であるエバートが、淡々として相変わらず愛想のないレイの態度にふん、と鼻を鳴らした。
「まぁ。そう警戒するな、今宵はガンタール王国の建国記念の前夜祭、何事も穏便にいこうじゃないか」
エバートは息子のジェイスと同じ濃茶の瞳を持ち、歳は五十ほど。通った鼻梁に細い輪郭、今でも精悍な顔立ちをしているが、若かりし頃はさらにそれも増していただろう。レイと同じ身長で並ぶと、得体の知れない威圧感が漂う。