国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「保護したいなどと言って見え透いた言葉で誤魔化さなくとも、貴殿の本当の目的はあの娘が唄人だからだろう? いまさらそんなものを手に入れてどうするというのだ」
図星を指すようなレイに、エバートが結んでいた唇をへの字口に歪める。
唄人の歌は聴く者すべてに活力を与える。初めは迷信だ。と気にもかけていなかったが実際、レイもミリアンの歌を聴き、身体の奥から漲る力を感じた。
「私は自分の罪を償いたい……あの娘を我国で保護したところでそれはただの贖罪に過ぎないかもしれない、だが――」
「罪? では、十三年前に彼女の住む村を襲ったのはなぜだ? ミリアンの母を殺したのはいったい誰なんだ?」
今更都合のいいことを勝手に言ってくるエバートに苛立ち、レイの口調も険しくなる。そしてそんな苛立ちの原因はほかにもあった。すべての黒幕はリムルだと思っていたが、すべてがふりだしに戻ってしまったことだ。
「……我々は偽の情報で踊らされていたのだ」
ふと、エバートが苦渋の表情を浮かべながら意外なことを口にした。取るに足らない話にこれ以上は付き合えぬ、と返そうとした踵をぴたりと止めた。
図星を指すようなレイに、エバートが結んでいた唇をへの字口に歪める。
唄人の歌は聴く者すべてに活力を与える。初めは迷信だ。と気にもかけていなかったが実際、レイもミリアンの歌を聴き、身体の奥から漲る力を感じた。
「私は自分の罪を償いたい……あの娘を我国で保護したところでそれはただの贖罪に過ぎないかもしれない、だが――」
「罪? では、十三年前に彼女の住む村を襲ったのはなぜだ? ミリアンの母を殺したのはいったい誰なんだ?」
今更都合のいいことを勝手に言ってくるエバートに苛立ち、レイの口調も険しくなる。そしてそんな苛立ちの原因はほかにもあった。すべての黒幕はリムルだと思っていたが、すべてがふりだしに戻ってしまったことだ。
「……我々は偽の情報で踊らされていたのだ」
ふと、エバートが苦渋の表情を浮かべながら意外なことを口にした。取るに足らない話にこれ以上は付き合えぬ、と返そうとした踵をぴたりと止めた。