国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
レイとジェイスの間に長い沈黙が訪れる。

「な……んだと?」

それを聞いたレイは驚愕に目を見開き、身体を硬直させた。ようやく口を開くことができたが、言葉を満足に紡ぐことすらできなかった。

「ふふ、あはは。君がそんな顔するなんてな。大丈夫、ミリアンのことは僕が連れて帰るから、安心して君は眠っていればいい」

ジェイスは今度こそ笑いを声にして、形の整った唇を三日月に歪めた――。
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