国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ああ。本当に美しいな。お前は私のものだ……誰にも渡したくない」

そう言いながらぎゅっと腕に力を込められて、ミリアンはただでさえコルセットで苦しいというのに、息ができなくなる。

「く、苦しいです。もう、レイ様、いったいどうなさったんですか?」

「ミリアン。どこか具合の悪いところはないか? 痛むところは……?」

両頬を包み込むようにしてじっと顔を覗き込まれる。

「別にどこも具合の悪いところはありません」

「そうか。それならいい、少し急いで来たから喉が渇いた。水をもらおう」

偶然にもレイが水を所望した。このままいけば自然な流れであの水を飲ませることができる。いきなり来た絶好の機会に、ミリアンは狼狽えそうになるが平静を装う。

「ちょうど水がありますので、用意しますね」

(でも、本当にあの実は眠らせるだけなの……?)

水差しから水をコップに注ぎながら一瞬のためらいが生まれる。すると、再びあの頭痛がミリアンを襲った。
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