国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
荒々しい怒号を含んだ声を発しながらレイが剣を振るう。時には全体重をかけて腕を下ろし、掌底を眼前の男に叩き込む。兵士がよろめいた隙を狙って蹴り飛ばし、次々に飛んでくるリムルの兵士はレイの素早い動きで巧みにさばかれていった。

レイの腕がしなり、剣の切っ先が光の速さで舞うたびに、兵士らの鈍い呻き声が飛び交った。まさに一騎当千とはこのこと、どこからかかってもミリアンに触れることはできない。そう察知した兵士の動きが徐々に戸惑いの色を浮かべ、この無双状態に身動きが取れなくなった。

「あっはは。さすがだね。百人兵士を用意しても足りやしないな」

「もうやめて!」

声を高らかにして笑うジェイスにたまらずミリアンが叫んだ。見ると、あっという間に辺り一面、倒れて呻く兵士たちで埋め尽くされてしまった。そして密かにレイの息もわずかながらに乱れ始めていた。彼の体力も時間の問題だろう。
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