国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
その憎悪が沸き起こると、ミリアンはドレスの中に隠し持っていた折り畳みのナイフを取りだした。
「ミリアン?」
頭上で怪訝に染まったレイの声がする。
この声の主は、母の仇なのだ。何を戸惑っている。
「そうよ、あなたは……母の――」
いつの間にかナイフを手にしているミリアンを見たレイは短く息を呑んだ。
「そうだ。ミリアン、そのナイフでその男の胸を突くんだ」
呪文のようなジェイスの言葉にミリアンがゆらりと身体を起こす。そして両手で柄を持ち、ナイフの切っ先をレイに向けた。手元は小刻みに震えている。そんなミリアンに、レイは狼狽えるでもなく逃げる気配も見せない。ただじっと静かに殺気に満ちたミリアンの視線を受け止めている。
「母の仇……」
ミリアンの理性ではもう憎しみに侵食された身体をどうすることもできなかった。
「ミリアン、早くそのナイフで刺せ」
それはジェイスだったのか、はたまた覚悟を決めたレイだったのかわからない。最後に語り掛けてきた言葉を合図に、ミリアンは震える手を振り上げた。
「やぁぁ!!」
「ミリアン?」
頭上で怪訝に染まったレイの声がする。
この声の主は、母の仇なのだ。何を戸惑っている。
「そうよ、あなたは……母の――」
いつの間にかナイフを手にしているミリアンを見たレイは短く息を呑んだ。
「そうだ。ミリアン、そのナイフでその男の胸を突くんだ」
呪文のようなジェイスの言葉にミリアンがゆらりと身体を起こす。そして両手で柄を持ち、ナイフの切っ先をレイに向けた。手元は小刻みに震えている。そんなミリアンに、レイは狼狽えるでもなく逃げる気配も見せない。ただじっと静かに殺気に満ちたミリアンの視線を受け止めている。
「母の仇……」
ミリアンの理性ではもう憎しみに侵食された身体をどうすることもできなかった。
「ミリアン、早くそのナイフで刺せ」
それはジェイスだったのか、はたまた覚悟を決めたレイだったのかわからない。最後に語り掛けてきた言葉を合図に、ミリアンは震える手を振り上げた。
「やぁぁ!!」