国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
恐怖、迷い、すべての感情を振り払うようにミリアンは高く振り上げた腕をその身体めがけて振り下ろした。

(やっぱり、だめ――!)

寸でのところでわずかに燻っていた理性が震えた時、素早くレイがナイフを持つミリアンの手首を掴んだ。しかし、レイはミリアンの振り下ろしたナイフを止めず、そのまま自分の胸にズブリと埋めた。

「え……」

すべての時間が止まる。
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