国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
暗示にかけられている間、ミリアンはレイに想いを馳せる度に耐え難い頭痛と誰かに憎しみを煽られ続け、悩まされていた。しかし、片隅で消えることのなかった理性が“母の仇は彼ではない”と反発していた。ジェイスの暗示に押し負けなかったのは、レイに惹かれて愛しているという強い気持ちがあったからだった。暗示に飲まれて我を失っていたら、きっと一生後悔していたに違いない。

「ミリアン……」

レイに躊躇の色が浮かぶ。続けて口を開こうとしたその時。

「いたぞ!」

暗闇の中、いくつもの松明の炎を揺らめかせながらリムルの追っ手がどっと押し寄せてきた。

「くそ、しつこいやつらだ」

忌々しそうにレイが舌打ちすると、すっと立ち上がった。すると、ジェイスがやれやれといった仕草で現れた。
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