国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「ああ、ふたりとも無事だったんだね。探したよ、まさか海に飛び込むなんて意外と大胆だね」

煌々と瞬く月光は辺りを照らし出してくれるが、この時ばかりは裏目に出てしまい運悪く闇に紛れたふたりを露わにしてしまったようだ。

再び直面する絶体絶命。

「ジェイス、私にあんな暗示をかけるなんて……見そこなったわ」

ミリアンは唇を噛み締め、キッとジェイスを睨む。

こんな男に母の仇の話をしなければよかった。そもそも、彼を信じていた自分が愚かだった。次々と沸き起こる後悔がミリアンを苛立たせた。

「ミリアン、よせ」

今にも掴みかかりたい衝動を、レイによって制される。

「暗示が解けては面白くないな。こんなことになろうかと思って次の余興を用意した。おい、あの男を出せ」

「はっ!」

ジェイスが冷淡に命令をすると、後ろの方から兵士に脇を抱えられ引きずられるように現れた男に、レイもミリアンも絶句した。

「セルゲイ様……?」
< 268 / 295 >

この作品をシェア

pagetop