国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
思わずその姿にミリアンは名前をこぼした。セルゲイは今まで拷問にでもあったかのように顔中に殴られた痕跡がいくつもあった。そして、口の端から血を流し、真っ赤に腫れた瞼で押し上げても目が開かない状態だった。

「レ、イ様……申し訳ありません」

切れ切れに言葉を口にしたセルゲイは、今にも気を失いそうでふらついている。そして乱暴にジェイスはセルゲイの背中を蹴り押すと、両腕を後ろに縛られたままミリアンとレイの前にどさっと倒れこんだ。

「セルゲイ!」

ミリアンは咄嗟に倒れるセルゲイを抱き起そうとした。

「ジェイス……なんてことを!」

怒りで声が震えた。もう、目の前の彼は自分の知っている優しいジェイスではない。そう思うと、ミリアンは敵意をむき出しにした。
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