国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
これで何度目だろう。唄っても唄っても、レイはもう一度歌を聴かせろとねだる。これでは教会の子どもたちと大差なかった。それでもミリアンは文句ひとつ言わずに美しい旋律を奏でた。

先日、ガンタール王国の建国記念の式典は無事に事なきを得た。

その前日、レイの胸をナイフで刺したり、海に飛び込んだりと様々なことがあったにも関わらず、レイとミリアンは何事もなかったかのように式典に出席した。切り刻んでしまったドレスの代わりに、レイの計らいで式典までに間に合うよう、新しくドレスを新調してもらった。

騒ぎを起こしたジェイスの姿は見えず、聞くとミリアンから決定的な拒絶の言葉を浴びせられ、それから抜け殻のようになってしまったという。しばらく派手な動きはせずに自国で大人しくしていることだろう。

「それにしても、あのジェイスの顔……今までで一番傑作だったな」

ミリアンに平手打ちを食らったジェイスの顔を思い出すたび、レイはクスクスと笑っておかしくて仕方がないようだ。こんなに笑う人だったのかといまさら知る。
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