国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
「まったく、陛下も気まぐれが過ぎる」

レイの前で言えなかった鬱憤を晴らすように一層眉間に皺を寄せ、セルゲイがぶつぶつと文句を言っている。

「ところで、お前の侍女はマリーアか?」

ふと、セルゲイに尋ねられてミリアンは顔を上げる。

「はい、そうです。すごく良くしてくれています」

「マリーアは私の妹なんだ。といっても親の再婚相手の連れ子だが、気立てはいい。何かあったらなんでも彼女に言ってくれ」

「ありがとうございます。あの、引き取ったといっても私は何をすればいいのでしょうか?」

ここで自分ができることといえば、侍女として城で従事することくらいしか思い浮かばない。ミリアンの質問に答えが返ってくることなく、ひとつの部屋の前でセルゲイが足を止めた。

その部屋は西塔の三階にある部屋だった。一気に緊張が湧き起こってくる。

「お前がここで何をすればいいのかは、直接陛下に尋ねるといい」

セルゲイはそう言って、部屋の扉をノックすると「入れ」と短く返事が返ってきた。

「妙な真似をするなよ? お前の罪はまだ晴れてはいないんだ。今度こそは命がないと思え」

険しい顔で釘を刺されると、ミリアンはゴクリと息を呑んだ。

(妙な真似をするのはどっちよ)
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