極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
***

三か月後。

「この資料――もう少し詳細化できないかな? 特に要件のスコープについて。今のままだと少しぼんやりしていて、神崎さん、納得してくれない気がして……」

加藤さんの座るデスクの横について、書類片手に恐る恐る顔色をうかがうと、わずかに間をおいて、彼女がプッと吹き出した。

「もっとビシッと言ってくれてもいいのに。『ここ、もっとちゃんと書け!』って。それこそ神崎さんみたいに」

弱気な私の命令に、加藤さんはカラカラと笑う。

指摘については了承してくれたようで、快く書類を受け取ってくれた。

この三か月、営業二課のみんなの私への態度はこんな感じだ。
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