はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
クラスに居場所がない私は、深夏のとこにでも行って文化祭を楽しもうと思っていたけど…。



蒼が駆けずり回って騒ぎが漏れないようにしてくれたのに、新聞部に嗅ぎつかれたら元も子もない。



深夏に問い詰められたら黙ってる自信がない私は、野田先輩のクラスを訪ねることにした。




「桐生ちゃん、いらっしゃい。

とりあえず座りなよ。」



澤弥先輩が椅子を勧めてくれたので、遠慮なく座る。



「階段で転けたんだって?

体中ぶつけて痛いだろうから、今日は優をパシリに使いなよ。」



野田先輩と一緒に登校してきた澤弥先輩も騒ぎを知ってるけど、話を合わせてくれたみたい。



「澤弥!何で俺がパシリなんだよ?」



私のパシリに任命された野田先輩は、澤弥先輩に反論する。



でも、私の方を向き直ると



「桐生、模擬店で食べたいものあったら言えよ。

ちゃんと買ってきてやるから。」



そうやって、優しい声をかけてくれる。



「あ、金は払ってもらうけど…。」



「優、相手は後輩なんだから奢ってやれよ。」



「えー、今月小遣いピンチだし。」



「お前、いつもピンチじゃねぇか?」



「じゃあ、澤弥が奢ってやれよ。」



そうやって言い合いする2人を見てたら、可笑しくて…。



悪いと思いつつ、笑ってしまった。



ツボに入ったらしく、私の笑い声はなかなか止まらない。



「桐生、何いつまでも笑ってるんだよ?」



野田先輩の声で顔を上げると…。



ちょっとだけ眉間に皺を寄せた野田先輩と、ニヤニヤ笑う澤弥先輩が、私を見てた。







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