はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
文化祭1日目は、ずっと野田先輩のクラスで楽しく過ごした。



展示の受付当番があったけど、野田先輩が部長に断っておいてくれたから行かなくて済んだ。



自分の作品が展示されない部屋を番するなんて、まっぴらだし。



2日目はステージパフォーマンスを行うのだけど、昨日よりもマシになったとはいえ、右手が痛む。



だけど、私が自分の作品を見てもらえるのはこの時だけ…。



私は右手にサポーターをして、手首の負担を和らげる。



「桐生、ホントに大丈夫か?」



昼過ぎ、会場となる講堂で私の姿を見るなり、野田先輩が声をかける。



「…多分。」



「無理するなよ。」



「うん。

それより先輩の出番だよ、練習通りやればいいから。」



「おう、行ってくる。」



野田先輩の出来は、かなり良かった。



彼女が来てるからかな?なんて思いながら見物客の中にいる翠子を見ると、私に気づいたのか微笑んで手を振る。



私は、翠子のもとに小走りで向かい



「翠子さんの手で、右手首にロザリオを巻いてもらっても良いですか。」



そう言って、右手を出した。



翠子は一瞬目を見開いたけど、問いかけることなく巻いていく。



そして、そっと私の手を撫でてくれた。



「ありがとうございます。」



私は頭を下げると、部員が待機するスペースに戻った。









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