はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「手紙って、これかしら?」



母がハガキを手に、部屋へと入ってきた。



「今日のお昼に届いたのよ。」



ジイサンは母からハガキを受け取って読むと、私を睨みつけた。



「仕方ないよね。

連絡取ろうにも、最近は公衆電話見当たらないし?」



ジイサンの方は、一切見ずに答えた。



「だったら、電話くらい借りたらどうなの!?」



そう言いながら、母が私の頭を叩く。



痛いなぁ…。



私がウチに帰りたくない原因が自分たちにあるってこと、考えもしないのか…。



「あー、そっか。

思いつかなかったし?」



どう考えても嘘だろ?って、丸分かりの声色で喋る。



これで、ジイサンが激怒して「出ていけ!!」とでも言ってくれたら清々する。



学校も行かなくて良いし、坂下のことだって…無かったことにできる。



今の私には、失って困るものは何も無い。



さあ、どう出る?










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