だから何ですか?
それでもククッと堪え切れなった笑いを零すと、
「約束・・・してたっけ?」
「約束なんてなくても会えるのが恋人特権だと思ってました」
「カッコイイ~」
「カッコいいでしょう?伊万里さんの発言に心が攫われたので、【恋人】に攫われた様に動いてみました」
「そんな亜豆に見事攫われた」
狡い賢く可愛い女。
勿論賞賛の意味でそんな事を思って見つめた姿はフフッと楽し気に口元に弧を描いて持っていたカップを差し出してくる。
湯気と一緒に漂い鼻孔を擽るのは思っていたのとは違う匂いで、
「・・・コーヒーかと思った。ココア?」
「好きでしょう?伊万里さん。甘いもの。特に・・・チョコレート系。お酒の後だしどうかな?とは思ったんですけど寒いからいっかって」
「ストーカーかよ。・・・俺の好みまで把握してるってわけだ」
「だから言ったでしょ?」
「・・・何が?」
「『私の方が好きだって求愛で示してあげますから』って。・・・伊万里さんの方が好きだなんて・・・そんなセリフ易々認めてあげませんよ」
参った・・・。
勝気に笑って過去の言葉を引用して証明して。
どこまでもどこまでも・・・無垢に駆け引きする女は性質が悪すぎるのに愛おしい。