だから何ですか?
亜豆が計算してあざとく行動してるなんてもう微塵も思わない。
思わないからこそ素直にまっすぐ食らっていちいち目が回るって言うんだ。
なのにそんな俺なんていつだってお構いなし。
今もまったく動じず羞恥もなく、『寒いですね』なんて言って街路樹のイルミネーションを見上げているくらいだ。
そんな彼女を見つめ、なんとなく繋がった手を意識しながら、
「・・・ってか、何?・・・手つなぎたかったのかよ?」
「いえ、手を繋ぎたかったわけじゃ」
「何だよそれ。じゃあ何で繋い__」
「手っ取り早く伊万里さんに触りたかっただけです」
ま、真顔で言いきられた。
いつもの如くぶれずに淡々ですね。
物凄く言っている事はとてつもないデレだと思うのに、本人に恥じらい的な様子が微塵もないから凄いな。
段々尊敬の域に達してきたかもしれないなんて事を思っていれば、これまた亜豆の意識は俺を置いてきぼりにもう違うところに向いている。
「伊万里さん、こっち、」
カツンといつものヒールの音が警戒に楽し気に地面を踏み鳴らして聞こえた。
こっちと声で促され、繋がった手が心地の良い力で俺の身を引いて。
亜豆の長い髪がマフラーに巻き込まれながら揺れるのに心が惹かれる。
抱きしめたいと・・・渇望する。