だから何ですか?





そんな誘う様な顔して、誘う様な言葉で翻弄して、



「お前・・・本当、嫌」


「・・・えっ」


「・・・・・・好きすぎてって意味だ。いちいち不安そうな声出すな」



嫌いなんて意味で発した言葉ではなかったというのに、一瞬でその声に不安がよぎったのは俺でも分かる。


表情はいつもと変わらぬ無表情であったけれど、今まで笑みを浮かべていたのだ。


それが一瞬で掻き消え声にもそれを滲ませればすぐに分かる。


そんな彼女に苦笑いで否定を響かせ、ポンポンと頭を撫でて繋いでいる手に軽く力を込めると、



「大歓迎です」


「・・・・」


「嫌って程・・・好きになってもらえたら本望です」



クスリと笑った笑みは子供の様な大人の様な。


そんな表情に飲まれたのも一瞬で、次の瞬間には思いだしたように『行きますよ』と動いて俺を引導する彼女。


もうその後ろ姿に敢えて邪魔を入れず、嬉々として彼女が足を向ける場所はどこであるのだろうと身を任す。


歩き抜ける街中は彼女の言うようにクリスマスカラー一色。


通り過ぎる店の中からは様々なクリスマスソングもちらほら。


金曜の夜は人が多いのはいつもの事だけども、先週よりもカップルを多く見受けられる気がする。


その中の一組に俺達も見えているんだろうか?


昨日までは特別でなかった関係。


今日出来上がったばかりの恋人と言う彼女との繋がり。




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