だから何ですか?
そのまま亜豆の席へと移動すれば重さでギシリと傾く車体。
亜豆の横に身を置いて、彼女がしている様にカメラが向いている上の方を覗き込めば。
「成程・・・なんつーか・・・絶妙なポジションで入り組んで味がある写真になるな」
「でしょう。加工したらもっと味が出ますよ。モノクロでもいいし、インスタントもなかなか」
「しかし、デジカメなんか普段から持ち歩いてるのか?」
「趣味の範囲です」
携帯ではなくカメラ持参。
決してここにくることが予定されていたわけではないというのに。
つまりは鞄に常日頃入れて歩いているという事だろう。
それを示す様に『趣味の範囲』だと言った亜豆が状態を戻しながらカシャリと不意打ちで俺を写真に収めることに失笑する。
「高いぞ」
「じゃあ、会社の女性陣にこの写真売りまくってお支払いしましょうか?」
「どんな嫌がらせだよ」
「売れそうじゃないですか?小田さんとか」
「・・・・その突っ込みは意地悪な冗談なの?ヤキモチなの?」
「・・・両方です。・・・すみません、だから・・・浮れてるんですって」
さすがに判断に迷う亜豆の発言に苦笑いで切り返すと、言った本人もどこかもどかし気に苦笑して席に座り直し『浮れていると』言い訳をつける。
そのままスッとその視線は窓の方へ。
俺の位置からは反射で窓に映った夜景を見つめる亜豆の表情を捉えられて、絡まない視線にどこかもどかしく思い自分の視線も窓を突きぬけた夜景に移動させた。