だから何ですか?





ああ、もう本当・・・、



「抱きてぇ、」


「あ、ダメです」


「・・・・・・」


「ダメです」


「・・・・だ・・」


「【め】」


「・・・・・」


「・・・・・」




なんか、真顔でもの凄く早い切り返しで『ダメ』宣言された。


真っ赤で涙目な癖に。


がっつり逆上せきった感覚で熱のこもった声音で『抱きたい』と示せば、今の今まで微睡んでいた筈の亜豆の顔が瞬時に冷静を帯びて。


当然そんな切り替えの早さに対応できるはずもなく、返された言葉を上手く消化できずに呆けて数秒。


しかも確認の様に言葉を紡げば念押しの様にそれを言い返されて、強制的に滾っていた熱を下げにきた亜豆の言葉。


抱きてぇ→ダメ=NO SEXという事になるって事で・・・。



「っ・・は!?何で!?」


「むしろ、何でって何ですか?まさか本気でこんな場所で事を成そうとか思ってたんですか?」


「じゃあ、ここじゃなきゃしていいのかよ?」


「ダメです」


「ダメなんじゃねぇか!」


「ダメですよ。検討しますと言いました。つまり検討中ですよ今現在」


「はぁぁ!?お前・・・あれだけ煽って『焦らすな』とまで言っておいて、」


「『焦らすな』とは言ってません。『焦らされるってこういう事か』と言ったんです」


「同じだろ!?」


「違いますよ!あくまでも自己完結の感情の吐露であって、伊万里さんにそれを要求するような言い方はしてないでしょう?」


「っ・・・お・・前・・・」



本当・・・どこまで俺を翻弄すれば気が済むんだ。


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