だから何ですか?
震えた響き。
それに反応してようやく自分の長すぎる沈黙に我に返って顔を上げれば、間近で捉えるのは亜豆の真顔。
でも、必死で作り上げていると分かる目に映る不安と俺の服をしっかりつかむ華奢な手と。
しまった。と察知して理解すれば僅かな隙間も埋める様に抱きしめ耳元に唇を当てると、
「好きすぎるが故の葛藤だから、」
「っ・・・」
「でも・・・無自覚に煽ってくれるな。場所が場所なら欲求のまま行動してたかもしれねぇ」
「すみま・・・せん?」
「あー・・いや、謝るのも違うんだよな。お前の場合本当に無自覚だし。思ったままを素直に口にするのがお前の魅力でもあるし」
「・・・そうなんですか?」
「そうなんです。・・・少なくとも、・・俺には」
最初こそはその素直さに戸惑い苛立ってしまったけれど、味を覚えて癖になってしまえばどこまでも依存して。
「まんまと・・・・亜豆の虜、」
「・・・・・」
たった一言で、抑制して我慢するのも仕方ないかなと思うほど。
いや、抑制するのはかなりきついのだけど。
今だって、大人対応で抱きしめてはいるけれど鎮静させた熱が軽く燻っている程。
こうなってくると逆にあきらめざるを得ないこの空間と服装には感謝したくもなってくる。